空調タイムス【ダクト業への情熱や職場環境発信・自社サイトの大幅刷新で若年求職者呼び込む】

【空調タイムス掲載記事引用】


  空調・排気・排煙用ダクト製作・施工の竹本設備(社長=竹本五郎氏、本社・大阪府摂津市鳥飼町3-11-18)は、大型新築ビル物件で施工される空調ダクトの製造と施工でボリューム感のあるダクト工事を完工できるダクト会社だ。ビル物件のほか工場など産業分野での換気・排気・排煙系統の風道を支えるダクト製作や施工も手掛ける。同社は自社の強みやダクト業への情熱、職場の雰囲気を対外向けに発信する活動に近年力を注いでいる。この一環で昨年、自社のウェブサイトを大幅刷新した。常に進化するダクトプロ軍団であり続けるこだわり、伝統技術の継承と自動化設備による技術改革・生産性向上の両立を図る姿勢、さらに働きやすい職場環境の整備を年々進めていることなど、同社の企業カラーをサイト上で散りばめている。自社の発信力を前面に出し、受け身ではなく攻めの姿勢で若年求職者を呼び込む意向だ。


 竹本設備の創業は1969年2月。昨年創業50年を迎えた。同社は大型ビル、大規模商業施設の建設案件で1万平方㍍超のダクト工事を大手総合設備会社などから受注し、施工実績を積み上げている。また自動車や産業機械の製造工場、化学プラントなどで求められる鋼板ダクトや、半導体製造工場・製薬工場・医療施設などで需要があるクリーンルーム用ダクトなど、特殊空調用途のダクト製作や施工技術も蓄積。プラントエンジニアリング会社などからこれらのダクト工事を受注し、施工した実績も豊富。社内では特殊空調分野のダクト製作や工程管理、施工を託せる技術者を長年にわたり育成してきた足跡がある。


 同社の従業員数は契約社員を含め約50人だが、入社10年未満の20代の社員は4人しか在籍せず、30代、40代の社員の構成比が大きい。近年の課題は、職人らが培った高度な技術を受け継ぎ、将来の社業の担い手となる新卒社員や10代、20代の若年求職者の獲得と育成。しかし建設業界は3K職種に属し、ダクト業界も同様、若年層からは敬遠されがち。同社も2015年以降新卒社員の入社に恵まれない状態に苦慮してきた。そこで竹本設備は社員らの働き方改革と職場環境・処遇面の改善に着手し、若手人材を迎え入れて育て上げる風土の醸成を意識するようになった。「昨年5月に自社のウェブサイトを大幅に刷新したのもリクルートを意識したもの」。竹本社長は話す。


 同社のウェブサイトには、工場での作業や同社が制作したダクトの画像が多数サイト上にアップされている。業務内容を画像と共に分かりやすく解説し、手に職を持てる仕事であるというイメージを醸し出している。また、正社員を個別に顔写真とプロフィール付きで紹介する「社員紹介」コンテンツは実に妙味。各写真の顔写真は一見「ダクト業のプロ集団」を思わせる真剣勝負の表情が多い。しかし顔写真をマウスのカーソルで触れてみると、各人の写真が優しく微笑んでくれる。ダクトプロを育成する猛々しい職場の印象を醸しつつも、社員の笑顔から職場環境の温かみもじわりと伝わる。「入社を検討頂ける若手入職者の親御さんにも、当社に対して安心できる職場であると感じてもらえるようなウェブサイトにしたかった」(竹本社長)。


 その意図が的中。竹本設備は今春に新卒社員の採用に成功。同社員は現在も勤務を続けている。また今夏に同社員が竹本社長に友人を紹介したことが縁となり、友人も今月から竹本設備に入社。現在見習工として働いているという。手応えを得た同社は、来春に向けた新卒社員の公募も現在始めている。


 次の60周年に向けた成長の種が芽生え、育っていく日はそう遠くなさそうだ。